東海道品川宿

 

テケテンツクストツクテンツクツ

このところ馴染みの品川宿にいたら、朝から太鼓の音が聴こえてきた。

音に呼ばれて近づいてみると、道ばたでおじいさんが太鼓を叩いている。太鼓が3つ並ぶ台を置いて、叩き手がひとり、笛がひとり。

お正月からお囃子を生で聴けるなんて、ちょっとラッキー。お気に入りのカフェ、Kaidoが開くまで少し聴いていこうかしら、と道の向かいのベンチに座る。

太鼓と笛の音を聴きながら、ぽかぽか朝日にあたってうっとりしていると、笛のおじさんが近づいてきて、いろいろ教えてくれる。

お囃子の曲というのは、ぶっこみ、というのから始まって、いくつかのパートがある(忘れた)。太鼓はお客さんの様子を見て、次のパートに移っていく。笛は太鼓を見て聴いて合わせる。盛り上がっていればどんどん太鼓が笛を煽る。太鼓が指揮者のようなものだと。笛が一番大変、と3回くらい言った。
すると、太鼓のおじいさんも近づいてきて世間話をしだす。

ここの山車を出すなっていう馬鹿がいるんだよ、こっちのがでかいからってしがんで(ひがんで)やがる。そんな馬鹿野郎とはつきあわねえってんだ。

と、威勢のいい江戸っ子ぶり。その語り口は味わい深くて、まるで落語を聴いているみたい。落語のしゃべりは誇張でもなんでもなく、ほんとにこういう人がいてそれを真似ているのか、と感動。おじいさんは口が悪いのだけど、ほれぼれと聴いてしまう。

そのうち、「ちょいとやってみるか。」と太鼓を叩かせてくれることに。

目をつぶってみな。歌を覚えるんだよ。
テケテンツクストツクテンツクツ、テケテンツクストツクテンツクツ。
(ツクストからはバチを)押さえるんだよ。鳴っちゃうから。
なんとか口太鼓を覚えて叩いてみる。しばらくすると、パッとわたしのバチをおじいさんが自分のバチで制して止める。

速くなるだろ、叩いてると走っちゃうんだよ。だから歌いながらやるんだ。
テケテンツクストツクテンツクツ、、、。
あんた覚えたね。合格。
太鼓やる人がいねえからどんどん減ってるんだよ。太鼓やりたいかい?あんた東京来た時に教えてやるよ。
と、電話番号をおしえてくれる。番号の88はパッパ、81はハイ、だって。

はい、じゃあな!

と、別れ際もあっさりあざやか。うーん、格好いいなあ。
日頃からこんなしゃべりをする人は、もういなくなってしまうのかしらん。
落語のなかだけに生き残っていくのかもしれないなあ、なんて思うと少しさみしい。

結局カフェには行かず、2時間近くお囃子にひたってしまった。
素敵な偶然に出会えた朝。

こいつぁ、年の初めから調子がいいやあ。
って、エセ江戸っ子弁がしばらく脳内をかけめぐる。
6月は品川で大きなお祭りがあるみたい。そのころ、また来れるといいな。

なんていうお正月の朝でした。

あけましておめでとうございます。

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